有機酸溶液にCa-Algを浸漬加熱した場合のアルギン酸の分子量の変化についてゲル浸透クロマトグラフィーで検討した. 1. 浸漬温度が50℃までは,有機酸(酢酸,乳酸,リンゴ酸およびクエン酸)の種類に関係なく1.0Mの高濃度でも分子量低下はわずかであったが,70℃以上になると,浸漬後60分までに分子量が急速に低下した.0.2~2.0Mの範囲では,有機酸の種類に関係なく分子量低下に及ぼす影響は濃度によってほとんど差がなく,70℃では,始発分子量(1.1×106)の10分の1に,90℃では,25分の1になった. 2. 分子量低下に及ぼす有機酸の影響は,クエン酸>リンゴ酸>乳酸>酢酸であった.浸漬時間が長くなるにしたがってこの影響は小さくなった. 3. 分子量分布は,分子量の低下にともなって狭くなった.いずれの有機酸も70℃では,始発分子量分布(Mw/Mnで表示)3.7が1.7に,90℃では,1.5前後に収束した.