シマテンナンショウ( A. negishii MAKINO)の塊茎デンプンの性状について検討し,以下の結果を得た. (1) 糊化温度は61.7℃で,ポテトスターチ(65.2℃)よりやや低かった.最高粘度は346 SN (Stirring Number)で,コーンスターチとポテトスターチの中間であり,最低粘度と最終粘度はこの4デンプンの中では最も値が高かった. (2) アミロース含量は35.4%で,サトイモデンプン(17.5%)の約2倍量であった. (3) X線回折図形はB図形を示し,同じ科に属していてA図形を示すことが知られているサトイモのデンプンとは異なることが認められた. (4) デンプン粒を走査型電子顕微鏡で観察した結果,その粒形は球形ないし楕円形で,粒の表面は滑らかであった.粒子サイズは平均10.5μmで,非常に小さくてその表面が角張っているサトイモデンプンとは形態的に著しく異なっていた.