亜硝酸とジメチルアミンの反応によるートロソジメチルアミン生成に及ぼす青果物ジュースの影響について調べた.(1) 野菜では強い抑制効果は認められなかった.モヤシ,カイワレナ,ハクサイ,ソラマメおよびゴボウなどに50~20%の抑制効果が認められた.(2) 果実ではレモンジュースに54.2%の強い抑制効果が認められた。キューイには50~20%の抑制効果が認められた.(3) レモンジュースを超遠心分離した上清画分F1およびF2には共に64.0%の抑制効果が認められた.F2の透析処理した溶液に18.8%の抑制効果が認められたが,アスコルビン酸の含有量は0.2mg/100mlと少なかった.(4) 生のレモンジュースでは65.6%であるのに対して,加熱時間5分間で64.2%,15分間で70.6%,30分間で72.1%のジメチルニトロソアミンの生成抑制効果が認められた.加熱処理したレモンジュースのアスコルビン酸量は5分間で44.0mg/100ml,15分間で38.9mg/100ml,30分間で37.4mg/100mlと徐々に減少した.(5) レモンジュースに含有されるアスコルビン酸量によるニトロソジメチルアミンの生成抑制効果は0.6%であった。このことからレモンジュースにはアスコルビン酸以外のニトロソジメチルアミンを抑制する物質が存在すると推定される.