羅臼沿岸で漁獲された低生殖腺指数シロザケの背肉の食品成分を明らかにする目的で,水分,タンパク質,脂質,灰分,エキス態-N,アスタキサンチンそしてミネラルのような化学成分を測定した.また,脂質クラスの分析および全脂質,中性脂質そして極性脂質の脂肪酸組成を測定した結果,以下のような知見が得られた. (1) 低生殖腺指数シロザケ背肉の水分含有量およびタンパク含有量の平均値はそれぞれ68.27%と16.68%で産卵回遊時期のシロザケに比べて低い値を示した,また,脂質含量の平均値は12.79%を示し,著しく高いという特徴が明らかになった. (2) 脂質クラスの分析値の雌雄平均値はトリグリセリドが91.9%,リン脂質は3.6%,モノグリセリイド+ジグリセリドは1.7%,遊離脂肪酸は19%を示して総脂質の99%以上占めていた.また,微量のコレステロールエステルを含むことが明らかになった. (3) 全脂質,中性脂質の主要な脂肪酸はそれぞれC14:0, C16:0, C18:0, C16:1, C18:1, C20:1,C22:1,C20:5,そしてC22:6であり,いずれも全脂肪酸の90%占めていた.極性脂質の主要な脂肪酸はC16:0,C18:0,C18:1,C20:5そしてC22:6であり,全脂肪酸の90%以上を占めており,機能性脂質として知られているIPE(EPA),DHAは全体の50%以上であることが明らかになった. (4) Fe,Zn,CuおよびP含有量は他のシロザケの含有量とほぼ一致したがCa含有量は僅かに低かった.