大麦穀粒を大麦分級装置にて8段階に削離分級した大麦とそれらの焙煎大麦,緑茶,焙煎コーヒー豆,市販の小袋入大麦について温水と有機溶剤にて抽出した抽出物の抗酸化性をランシマット法とAOM試験で検討した. (1) 玄麦および分級大麦画分の温水抽出物は,いずれも油脂の酸化を抑制した.中でも玄麦と分級大麦2は他の画分よりもいくらか高い抗酸化性に富んでいた. 2)焙煎度合の異なる分級大麦2の温水抽出物の抗酸化性は濃色(焙煎15分)>中間色(焙煎14分)>淡色(焙煎13分)の順であった. (3) 焙煎分級大麦のエタノール抽出物は抗酸化性を有していたが,エチルエーテル,クロロホルムの両抽出物には抗酸化性は認められなかった. (4) ランシマット法とAOM試験による緑茶,焙煎コーヒー豆,焙煎分級大麦の温水抽出物の抗酸化力は緑茶が最も強く,ついで,焙煎コーヒー豆,焙煎分級大麦の順であった. (5) 緑茶および焙煎分級大麦の温水抽出物は大豆油,鯨油,いわし油のいずれの油脂に対しても抗酸化性を示し,かっ,添加量が多くなるほど油脂の酸化抑制効果は高くなった.