高圧処理(400MPa,1h)を施した分別乳脂肪の加熱劣化度合から高圧処理による影響を調べることを目的として検討した.その結果,分別乳脂肪はいずれも加熱温度の上昇にともない劣化し,140℃と180℃加熱は加熱酸化による劣化を示した.240℃加熱ではさらに劣化し,分解物の生成および重合が起こったと考えられた.次に低融点乳脂肪はトリグリセリドを構成する脂肪酸に低級の不飽和酸が多く,高融点乳脂肪は高級の飽和酸の脂肪酸が多いと考えられた.耐熱性は高融点乳脂肪の方が低融点乳脂肪より強かった.最後に,高圧処理による影響はほとんど認められず,わずかに加熱劣化を遅らせたのは疎水結合や脂質の加水分解酵素に高圧処理が影響したと考えられる.