グルコースオキシダーゼとカタラーゼを酸素加圧密閉条件下で反応させ,グルコン酸生成速度の向上を図るとともに,濃縮ニンジン汁を原料に生成したグルコン酸による爽快な酸味を持つニンジン飲料の製造を試みた. 酸素加圧2atm下で17.4mg protein含量のグルコースオキシダーゼとカタラーゼの粗酵素液を反応させると,反応開始10分間のグルコン酸生成量は30gに,その生成速度は180g/l・hに達した. 酸素加圧下での酵素反応では,加圧程度を強めるほど生成速度は向上し,酸素3atm加圧下で6時間後には52g/lのグルコン酸が濃縮ニンジン汁中で生成した. 固定化酵素により反復回分反応を行うと,反応回数が増える度にグルコン酸生成速度は徐々に低下し,グルコースを含む緩衝液では6回以上,濃縮ニンジンジュースでは4回以上反応を繰り返すと反応開始時の半分以下の生成速度になった. 酵素反応を行った濃縮ニンジン汁を,蒸留水と濃縮ニンジン汁原料液で希釈調整すると,まろやかで爽快なグルコン酸の酸味を持つニンジン飲料が製造できた.