TSE-DSMの製造,醤油製造試験を工業レベルで行い,従来のDSMを原料とした場合と比較した. (1) TSE-DSMの工業規模での製造条件を検討した.製品の膨化の程度と吸水実験,サンプルの浮沈状態から,供給量400kg/h,スクリュ一回転数220rpm,加水添加量112l/h,処理品温度140℃,圧力38kg/cm2,モーター電流199Aの条件で製造したものが醤油原料に適していると判断された. (2) 1の条件で製造したTSE-DSMを原料として醤油の製造を行った結果,DSMを原料とした場合と比較して,時間当たりに圧搾できる諸味の量が10%多く,圧搾粕量が16%減少した. (3) TSE-DSMを原料とした麹は,DSMに比べて諸酵素の活性が高かった.また,醤油においては窒素溶解利用率が高く,諸味圧搾粕の成分では粗蛋白質の量が少なかったことから,TSE-DSMを原料とするとDSMよりも原料蛋白質成分が効率よく醤油として利用され,その結果,圧搾粕量が減少したと考えられた.