日本産水稲うるち米の主要な7品種のタンパク質及びタンパク質構成アミノ酸の分析を行い,米のタンパク質の栄養価に関する既存のデータとの比較を行った. 水分は品種間に差がみられたが,品種内の産地間では差はなかった.平均は玄米では15.1%,精白米では15.3%であり,『四訂日本食品標準成分表』の値と差はなかった.タンパク質含量は品種及び産地間で差がみられた.平均含量は玄米では6.7g,精白米では6.1gであり,『四訂成分表』の値より約10%低い値であった. アミノ酸含量は品種及び産地間で差がみられた.平均含量は玄米では6369mg,精白米では5851 mgであった.組成比は品種間に差はみられたが同一品種の産地間には差はみられなかった.『改訂日本食品アミノ酸組成表』に基づく組成比に対してチロシン,アルギニン,セリンが大きく,バリン,アスパラギン酸,グルタミン酸が小さかった. 1973年FAO/WHO(一般用)及び1985年FAO/WHO/UNU(2~5才用)評定パタンに基づいて算出したアミノ酸スコアは,第一制限アミノ酸は玄米及び精白米共にリジンであり,品種及び産地間に差がみられた.平均アミノ酸スコアは玄米は67及び64,精白米は62及び59であり,『アミノ酸組成表』の値に比べ精白米がやや低い値であった. なお本研究の一部は財団法人全国米穀協会の研究助成を受けて行ったものである.