GRのAN色素とのコピグメント効果が,GRのどの構造に由来するのかを,種々のトリテルペノイド配糖体を用いて検討した.さらにGRをβ-グルクロニダーゼ処理し,糖鎖を切断した状態でのコピグメント効果を調べた. コピグメント物質として各種トリテルペノイドを添加したときに,λmax VISが長波長側に移動し,GR,オレアノール酸添加では約1.4倍,α-エスシン,β-エスシン,ヘデラゲニン添加では約1.3倍,α-ヘデリン,β-グリチルレチン酸添加では約1.2倍にAN色素が濃色化した.GRのアグリコンである,グリチルレチン酸においてもコピグメント効果が認められたことから,GRの持つアントシアニン色素に対するコピグメント効果はオレアネン型トリテルペノイドのアグリコンに起因すると推察した.GRおよびGR-NH4に結合している糖鎖(グルクロン酸)をグルクロニダーゼ処理して切断したところ酵素反応によってコピグメント効果が低下した.また,AN色素にグルクロン酸を添加すると,その濃度が高くなるほどシソAN色素が退色した.さらに,グルクロン酸は,GR, GR-NH4およびα-グルコシルルチンのコピグメント効果を阻害した.以上の結果より,GRによるAN色素の濃色化や安定化効果を食品製造に利用するとき,GRの糖鎖が切断されないようにすることが重要であると考えられた.