食用キノコであるタモギタケの加工にともなって生じる煮汁の有効利用に端を発した研究の一環として,熱水抽出物(煮汁)の血糖値抑制効果を調べた. タモギタケの熱水抽出物は,経口投与により,II型糖尿病モデルマウスKK-Ayの血糖値上昇を抑制し,耐糖能を改善した. 熱水抽出物をβ-グルカナーゼ処理した後,3倍容のエタノールで処理して得たエタノール処理画分は,KK-Ayマウスの血糖値を一時的に抑制したが,作用は微弱であった. 熱水抽出物を対照動物(C57BL/6Jマウス)に投与したが,血糖値および耐糖能に変化はみられなかった. 今後,有効成分の特定と作用機序の解明が必要であるが,本研究は,副生物の有効利用の可能性を示唆した.