西洋わさびからでん粉を単離し,その性質を調べ以下の結果を得た.(1) 生の西洋わさびに対して乾燥でん粉の収率は1%以下であった.(2) 西洋わさびでん粉は長径が10μm以下の球形に近い楕円形を呈し,表面は突起もなく滑らかであった.(3) アミログラフにより求めた糊化特性から,糊化開始温度は55℃,最高粘度の時の温度は95℃で,最高粘度に至る所要時間が非常に長く,ブレークダウンが小さかった.(4) 西洋わさびでん粉糊の冷却物は透明度の高いゲルを形成した.(5) 示差走査熱量計,フォトペーストグラフ分析によっても糊化温度は低く,それぞれ約51℃,50℃であった.(6) 西洋わさびでん粉のX線回折図は根類でん粉に共通なC図形を示した.(7) 西洋わさびでん粉のアミロペクチンの分子量は小さいために低い糊化開始温度を示すと考えられる.(8) 地下茎でん粉であるにもかかわらず,西洋わさびでん粉は高い酵素分解性を示した.