X線分析顕微鏡は,大気圧下で,試料の前処理なしに元素分布の測定が可能である.ただし,検出感度が低い,測定対象元素が限定されるなどの問題もある.今回本装置にてサツマイモなどのミネラル分布を測定し,以下の知見を得た. (1) サツマイモでは,カリウムとカルシウムの分布に差があり,カリウムは表皮が,カルシウムは皮層部が高濃度であった.対して,玄米,ジャガイモ,大豆では両ミネラルの分布に差は見られなかった. (2) 不均一系の食品材料でも実際のミネラル分布を正確に画像化できるかを確認するため,サツマイモの各部位のミネラル含有量を,ICP-AESにより定量した.その結果,分布画像と定量値は一致していることがわかった. (3) 今回の材料では,カリウムとカルシウムのみで明瞭な分布像が得られた.