(1) 水溶液中でのアリルイソチオシアナート(AITC)の分解に及ぼすアミノ酸の影響はアミノ酸の種類,その濃度により差異が認められた.影響の大きいアミノ酸としては疎水性グループでは,アラニン,シスチン,システィン,ロイシン,メチオニン,フェニルアラニン,トリプトファン,中性グループでは,スレオニン,チロシン,塩基性グループではアルギニン,リジンであった.これらアミノ酸は低濃度(1mM~4mM)の共存でもAITCの分解を促進した. (2) AITCとアミノ酸との相互反応はアミノ酸分子内に求核種のあるアミノ酸が大きく,AITCの分解を促進した.特に,システィンでは-SH基がその反応に関与していると考えられ,その反応性は他のアミノ酸の求核種に比べて極めて大いことが推測された.