コーヒー飲料の加熱処理による香気変化について検討し,以下の結果を得た. 1) ガスクロマトグラムでは,furfuryl acetate以外に顕著な差は認められず,コーヒー飲料の加熱処理による香気変化に大きく関与する成分は見いだせなかった. 2) FD-クロマトグラムで,加熱処理により減少する2-furfurylthiol, methional, 3-mercapto-3-methyl-butyl formate,β-damascenoneおよびskatoleの5成分を見いだした.これらの香調および閾値を考え合わせた結果,コーヒー飲料の加熱処理による香気変化に,これら5つの香気寄与成分の減少が大きく関与していると推定した. 3) 上記香気寄与成分を含むモデル実験から,コーヒー飲料中の香気寄与成分は加熱処理により一般に,酸化,熱分解,あるいは加水分解反応が起こった結果,減少すると考えられる.