(1) 高水分(40%(w/w))W/Oエマルションであっても膜細孔径を変化させることにより,分散粒子径をほぼ制御することが可能であり,乳化剤(ポリグリセリン縮合リシノレート)濃度が油相部当たり5%(w/w)で平均分散粒子径(Dp)が平均膜細孔径(Dm)のほぼ15倍となり,油相部当たり3%(w/w)ではほぼ18倍となった. (2) 初期平均分散粒子径がほぼ同等である撹拌乳化液と比較すると,膜乳化液は乳化剤濃度が油相部当たり5%(w/w)である場合,分散粒子径・粘度のテスト結果より安定であることが判明し,乳化剤濃度が油相部当たり3%(w/w)である場合,撹拌乳化液と膜乳化液との間で安定性に差が見られなくなった. (3) 平均分散粒子径(Dp)が異なる膜乳化液間で分散粒子径,粘度および静置分離の経時変化量について比較すると,分散粒子径の大きさによる経時変化量の傾向は観察されず,安定であった. (4) 分散相の膜透過流束(Je)を実用レベル(60kg/260(m2・h))で一定とした場合,平均乳化圧力(Pe)は平均膜細孔径(Dm)の2乗に反比例するという関係が成立し,この条件では分散相の圧入に対する油水界面張力の影響は比較的少なく,膜細孔内での流動理論にほぼ支配されることが分かった. (5) 本結果より膜乳化法で,従来法(撹拌乳化法)より安定な高水分W/Oエマルションを高い乳化速度で得ることができた.