円柱状の魚肉ソーセージをモデル物質として種々の条件で通風乾燥を行うとともに,乾燥途中にあん蒸操作を行い,あん蒸操作の乾燥速度に対する効果及び水分拡散機構について検討を行った.(1) 乾燥工程途中のあん蒸操作挿入は,あん蒸操作を行わない連続乾燥に較べ乾燥速度比(R値)で約1.8~3.5倍高い値を与える.(2) R値は,乾燥温度TDにはほとんど依存せず,あん蒸開始含水率(ω0)が低いほど大きな値を与える.(3) あん蒸操作による乾燥時間短縮効果を表す乾燥時間有効係数(Ef値)は,あん蒸操作開始時の含水率(ω0)によって著しく異なる.ω0>50%-W.B.の時,試料含水率の低下に伴いEf値は0.82から1.0に近づきその効果が減少する.一方ω0<45%-W.B.の時,Ef=0.82~0.90を与え,その効果が大きく保たれる.こうしてω0値によってEf値が大きく異なる2つの領域のあることを明らかにした.(4) 新しく導入したR値及びEf値より,あん蒸操作を最適に行うための操作設計ができることを明らかにした.