茶葉に対するソフトエレクトロンの殺菌効果及び色調と香気成分に及ぼす影響について検討した. (1) 茶葉の表面を均一に殺菌処理するため,横方向と縦方向の振動を同時に与えながらソフトエレクトロン殺菌処理を行った.殺菌に必要な条件は,200kV,8μA,15分間であり,この時の吸収線量は12kGyであった. (2) ソフトエレクトロン殺菌処理による茶葉の色調の変化について,官能検査による結果から,変化の度合いは少ないと判定された. (3) 香気成分の評価は,パージ・アンド・トラップ装置による捕集,GC/MSによる捕集成分の分析により,無処理,加熱殺菌との比較を行った.ソフトエレクトロンで殺菌された茶葉は,加熱殺菌に見られるような劣化臭の原因となる成分の増加は認められず,香気の劣化は少なかった. 以上のことから,ソフトエレクトロン殺菌は,茶葉の色調や香気をほとんど変化させずに殺菌処理する方法として有効であることが示唆された.