カカオ豆外皮より水溶性画分である外皮エキスと不溶性画分である外皮ファイバーを調製し,これらの腸内菌叢に及ぼす影響について検討した. (1) 外皮エキスの腸内菌に対する効果をin vitroで調べてみたところBifidobacteriaを選択的に増加させ,この効果は糖質に対する資化性によるものではないと推察された. (2) 健康な女性7名を対象に外皮エキス(2.4g/日)を2週間投与したところ糞便中のBifidobacteriaとLactobacilliが有意に増加した. (3) 同様に女性7名に外皮ファイバー(20g/日)を投与したところ糞便中のBifidobacteriaと総菌数は有意に増加したが,Clostridium perfringensの出現率は低減した.また6名の被験者が便通回数の増加を認めた. (4) 外皮ファイバーおよび外皮エキスは腸内菌叢及び腸内環境を改善することが期待され,カカオ豆外皮は新しい食物繊維資源として有用であることが示された.