ノータイム冷凍生地製パン法によって作成した食パンについて,3種の方法を用いて速度論的な解析を行った結果,以下のことが判明した. (1) 冷凍生地製法によって作成した食パンでは,生地冷凍による老化速度の増大はほとんどなく,少なくとも,パン中のデンプンは生地冷凍の有無に関わらず保存中にほぼ同じ速度で老化する. (2) 長期冷凍の冷凍生地から得られた食パンの老化(硬さの変化)の増大は,比容積の低下,内相の劣化に主に起因しており,その原因は,長期の生地冷凍に伴うイーストの冷凍障害,生地構造の劣化であると考えられる.