種々の加工食品の資材として利用可能なハチミツの開発を目的として,カステラの膨らみ不良および清涼飲料水の沈殿の原因の検討,ハチミツに含まれる微生物の測定を行った.さらに,膜処理によるそれらの問題の解決を試みた.カステラ,清涼飲料水,微生物の混入を避けたい食品などに添加できる食品資材用ハチミツが膜処理により製造できることが判明した.以下に得られた結果を要約する. (1) ハチミツ添加カステラの膨らみ不良やきめ細かさの低下は,総アミラーゼ活性値が大きいハチミツほど顕著に現れた. (2) 果汁入り飲料にハチミツを添加した時に現れる沈殿はハチミツ中の水溶性タンパク質量と相関があった. (3) ハチミツを希釈した時の濁度は,弱酸性域で大きく,低pH域および中性域で小さかった. (4) ハチミツには沸騰浴中で10~30分の耐熱性を有する菌が存在し,加熱殺菌は困難である. (5) 分画分子量10000の限外濾過膜でハチミツを濾過したところ,アミラーゼ,水溶性タンパク質,微生物をすべて除去できた.