酸化に対して比較的安定なおからに存在する抗酸化物質に着目し,その主要物質について検討した. 1. おからをヘキサン可溶性画分(HSF),エタノール可溶性画分(ESF)及び熱水可溶性画分(WSF)に分け,各画分の抗酸化力を測定したところ,WSFに強い抗酸化力が認められた. 2. WSFを透析およびDOWEX 50W X-2カラムクロマトグラフィーにて精製したWSF-S-A中に大豆由来抗酸化物質であるサポニン類,イソフラボン類,トコフェロール類及びフィチン酸は検出されず,91%以上を分子量10000以下のペプチドとアミノ酸が占めていた. 3. WSF-S-Aには数種の抗酸化ペプチドが存在していたが,分子量800~1400のペプチドが比較的抗酸化力が強く,その構成アミノ酸には抗酸化力の強いメチオニンやヒスチジン等も含まれていた. 4. WSF-S-Aは酸性下で特に安定であり,沸騰水浴中で2h加熱してもその活性は低下しなかった.また,l0%のNaCl添加でも影響は見られなかった.