1. 圧力処理による玄米中の微生物の変化 (1) コシヒカリの玄米中には,好気的・通性嫌気的な微生物が3.3×106 cfu/g検出された.25℃で浸漬すると18時間後には3.7×107 cfu/gまで増殖した.玄米と水を1:1として圧力処理を施した場合,圧力処理直後には400MPaで1.3×102 cfu/g,700MPaで1.0×10 cfu/gに減少した.18時間後には400MPaで2.1×104 cfu/g,700MPaで8.5×104 cfu/gまで増殖した.玄米と水を1:0.3として圧力処理を施した場合,圧力処理直後には400MPaで1.7×104 cfu/g,700MPaで1.1×104cfu/gに減少した.18時間後には400MPaで2.0×106cfu/g,700MPaで2.8×106 cfu/gまで増殖した. (2) 圧力を媒介として殺菌効果を十分なものにするためには,玄米1に対して水0.5以上が必要で,微生物の増殖を考慮すると,GABAを蓄積するための浸漬時間は10時間が一つの目安となった. 2. 玄米米飯のGABAの蓄積量 玄米に水を1.3倍量加えて27℃で10時間浸漬し,浸漬水を捨てずに炊飯すると,乾物100gの米飯中に12.0mgのGABAが含まれていた. 3. 圧力処理を施して製造した加工玄米の性質 加工玄米は,吸水を開始して1時間後には30%の水分となり,未加工の玄米が水中で平衡となる水分の94%が吸水されていた.無処理の約1/3の時間で吸水が可能となった.加工玄米のアミログラムの結果,最高粘性点の粘度は約10%程低下した.しかし膨化玄米に比較して澱粉の損傷が少ないことが観察された.加工玄米の一般生菌数は10 cfu/g,GABAの蓄積量は13.0mgであった.