「煮つめ法」により調製したゴマ豆腐のテクスチャーに及ぼす撹拌速度と加熱時間の影響を調べるために,圧縮試験によるテクスチャー測定,順位法,評点法による官能検査と走査型電子顕微鏡による組織観察を行った.さらにテクスチャー測定値と官能検査による評点との相関性を検討した.結果は次のとおりである. (1) 硬さ,ガム性の加熱時間に伴う変化は,貫入法と同様の結果が得られ,加熱25分で低下した後増大した.貫入法においては付着性は撹拌速度に依存したが,圧縮法で撹拌速度に依存せず,低速撹拌では加熱時間の増加に伴って増大し,高速撹拌では35分で最大となった. (2) 官能検査の順位法の結果から,250rpm,25分加熱,および150rpm,35分の試料が好ましく,60rpm,15分加熱と350rpm,45分加熱の試料が好ましくない調製条件であると評価された.また,総合的な好ましさにおいて,パネルの判断の一致性に,危険率1%で有意性が認められた. (3) テスクチャー測定値と評点の相関性は,硬さと感覚的なかたさ,付着性と感覚的なねばり,凝集性と感覚的な弾力性において,ほとんどの撹拌速度で,正の相関が得られた,さらに官能検査の口ざわりと総合的な好ましさの間で,撹拌速度250rpmにおいて最も高い正の相関性が得られたことから,ゴマ豆腐のおいしさには,口ざわりが大きく寄与することが示された.また,250rpm,25分加熱は機器測定と感覚評価との相関性が高い調製条件であると考えられた.