食品の対流加熱に関し,食品表面の着色状態に及ぼす風温と風速の影響を調べるため,食パンを試料とし,開放系で,風温が100~400℃,風速が1.7~15.0m/sの広い範囲で加熱実験を行った.その結果,以下のことが明らかになった. (1) 風温が高いほど,あるいは風速が大きいほど食品表面の焼き色は濃くなった.すなわち,高温空気の加熱能が高くなるほど表面は速く着色し,焼き色は濃くなる.また,食パンの場合,風温が180℃以下の場合には,L値に対する風速及び風温の影響はほとんど認められなかった. (2) 食品表面の着色状態は,表面温度に依存している. (3) 加熱能,すなわち単位時間当たりの供給熱量が同一の場合,風温が高く風速が小さい条件の方が,風温が低く風速が大きい条件よりも表面の着色速度は大きい,これは,加熱能が同じ場合でも,前者の高温空気から食品への熱流束が後者よりも大きくなるためである. (4) 食品表面の着色状態を決定する重要な因子は風温と供給熱量である.供給熱量が同じでも,食品表面の着色状態は風温により異なり,風温が高いほど焼き色は濃くなった,一方,風温が同じであれば,着色状態は供給熱量に依存する.