米の食味と水温70℃での加熱吸水率および溶出固形物量との間に正の相関関係が認められ,吸水しやすく溶出物が多い品種は食味が良い.この方法による測定を簡便にするため,70℃付近の水温として68℃,72℃における加熱吸水率および溶出固形物量とヨウ素呈色から溶出固形物量の推定を検討した. (1) 溶出固形物量と溶出固形物量比率では水温70℃と68℃,70℃と72℃との測定値間に有意な相関関係が認められた,また,加熱吸水率比率と溶出固形物量比率の分散分析では水温に有意性は認められなかった.試料数が多いなどで水温維持が困難な場合,溶出固形物量比率を用いることで水温による測定誤差を小さくできると考えられる. (2) 溶出固形物量とヨウ素呈色の吸光度との間に有意な相関関係が認められ,吸光度から推定した溶出固形物量と溶出固形物量との差は小さかった.溶出固形物量を求めるには乾燥に一晩程度を要するが,吸光度からの溶出固形物量の推定により測定時間を短縮できると考えられる.