納豆菌及びテンペ菌で発酵したおから(ON及びOT)から水溶性抗酸化物(WSM)を調製し,各試験における抗酸化力をを測定し,おから水溶性抗酸化物(OK-WSM)と比較検討した. 1. リノール酸の過酸化に対する各WSMの抗酸化力を比較したところ,リノール酸/エタノール系ではON-WSMが,リノール酸-H2 O2/FeCl2系ではOT-WSMが最も強く,納豆菌及びテンペ菌発酵によるWSMの抗酸化力増大が確認された. 2. OT-WSMのラジカル捕捉能は他のWSMに比べ高く,Fe2+に対する結合性もOK-WSMの5.6倍に増加していた.Fe2+存在下での抗酸化試験ではOT-WSMはトコフェロールとほぼ同等の抗酸化性を示した. 3. 各WSMの過酸化水素消去活性を測定した結果,テンペ菌発酵ではその活性が減少したが,納豆菌発酵では活性の増大が確認できた. 4. WSM中の大豆由来抗酸化性物質含量は納豆菌及びテンペ菌発酵により減少していた.納豆菌発酵ではWSMの収量,粗タンパク質含量及びアミノ酸含量が増加し,テンペ菌発酵ではアミノ酸含量の増加が認められた.おから発酵物からのWSMの抗酸化成分については引き続き検討の予定である.