コールターカウンターで,市販小麦粉および輸入小麦と国産小麦のテストミル粉の粒度分布を測定し,それぞれの小麦粉の粒度分布パターン類似率から,小麦の用途分類の可能性を検討した. (1) 小麦粉はパン用,中華めん用,めん用,菓子用の順に平均粒径が小さくなり,それぞれ異なる粒度分布パターンを示した.そのパターンはパン用,菓子用を両極に置くと,めん用小麦粉はその中間に位置した. (2) 小麦をテストミルで製粉して調製した60%粉は,銘柄,品種によってそれぞれ特徴的な粒度分布パターンを示した.硬質小麦は粒度が粗い部分に,軟質小麦は粒度が細かい部分にピークが認められた.国産小麦の多くは,粒度が粗い部分と細かい部分に山が見られるパターンを示した. (3) 粒度分布のヒストグラムパターンから類似率を計算して類似の程度を調べた結果,パン用小麦粉と菓子用小麦粉を両端に置くと,その間に中華めん用粉,めん用粉が入った. (4) 小麦は種類ごとに類似率で分けることができ,硬質小麦と軟質小麦とは両極に分かれ,国産小麦はその間に位置したが,軟質小麦に近い関係にあった.国産小麦の中では,ホロシリコムギが硬質小麦に類似しており,一般にいわれていた結果と一致していた. 以上の結果は,テストミルで製粉した小麦粉の粒度分布から,小麦の用途適性を分類できる可能性があることを示唆している.