豆乳に牛乳を配合した豆乳・牛乳混合系より乳酸発酵によるカード形成および P.caseicolum をスターターとして用い,熟成について検討し,次の結果を得た. 1) 豆乳に対する牛乳の比が1:1までは,乳酸発酵により酸度0.20%付近で両タンパク質を効率よく共沈させることができた. 2) 豆乳と牛乳の比が4:1の配合系を用いて乳酸発酵により得たカードは,豆乳カードに比べ,フィチン酸の移行割合が高く,硬さ,凝集性,剪断応力なども低く,走査型電子顕微鏡による観察結果も,より密な空隙の少ない組織を呈した. 3) 熟成によるタンパク分解が順調に進行していることが,タンパク質の水溶化率の変化,SDS-PAGEのパターンから明らかであった. 4) 熟成3週目の配合乳カードの総遊離アミノ酸量は豆乳カードに比べ約1.8倍と高く,とくにプロリン,ロイシンなどの疎水性アミノ酸遊離量が多く,またセリンは10倍,グルタミン酸含量も1.5倍と高かった. 5) 豆乳に牛乳を配合することによって,カードのカルシウム量を高めることができ,また風味も改良することができた.