ラットの新生仔と胎仔で,脳(大脳)を含む各臓器のビタミンEの濃度を測定した.母ラットを, dl -α-トコフェリルアセテートの添加量を調整して作製したビタミンE調整食で飼育した.ビタミンE欠乏食で飼育した母ラット由来の新生仔の脳におけるα-トコフェロールの濃度は,対照食で飼育したラット由来のものとほぼ同じであった.ビタミンE添加食で飼育した場合,その新生仔の脳では,他の臓器ほど,そのα-トコフェロールの濃度は影響を受けなかった.さらに,新生仔ラットの脳におけるα-トコフェロールの濃度維持のため,その供給源として母乳が重要であることが示唆された.一方,ビタミンE欠乏食で飼育された母ラットの胎仔の脳におけるα-トコフェロールの濃度は,対照食で飼育された母ラットの場合と類似していた.