秋収穫のイモを5°Cに120日間貯蔵後,5°C,20°C,33°Cの貯蔵区で70日間貯蔵したイモ及び33°Cで90日間大量貯蔵したイモの萌芽状態と成分変化,及びポテトチップスに加工した際の加工適性を調べ,次の結果を得た. 1) 5°Cに120日の冷蔵中はイモに萌芽と重量の変化は認められなかった.このイモを20°Cに移すと急激な萌芽が生じ芽の肥大とともに可食部分は減少した.5°C及び33°C区のイモは僅かな萌芽が見られたが,出芽は抑制され70日後でも大きな成長はなかった.33°C区で重量減少は生じるが廃棄率は20°C区より少なかった. 2) 5°Cに120日の冷蔵中はイモの全糖,還元糖量は次第に増加した.更に5°C貯蔵を継続すると全糖量は僅かに増加するが,還元糖量は大きく増加した.20°C区のイモは全糖,還元糖ともに減少した.33°C区のイモは全糖量は著しく増加したが,還元糖量は逆に大きく減少した. 3) 還元型ビタミンC含量は冷蔵120日間に減少するが,その後温度区を変えて貯蔵しても,大きな減少の差は認められなかった. 4) 5°Cに120日貯蔵したイモはポテトチップスにすると褐変が強く使用できないが,変温後20日の20°C,33°C区のイモからは褐変がゆるやかになり,70日後のイモでは商品性のあるチップが得られた.しかし20°C区のイモは出芽などにより廃棄率が大きかった. 5) 33°C区に大量貯蔵したイモは貯蔵90日後も萌芽,還元糖は少なく,ポテトチップス用の原料としては使用可能であった.しかし実験室レベルでは生じなかった原料イモの損傷から生じる腐敗の発生があり,この問題の解決が必要である.