食料需給表に掲載されているような系統変動が大きく偶然変動が小さいデータを用いて,その経年変化を示す傾向線を得る目的に適した,新しい手法を提案した.提案した手法は経験ベイズ型平滑化法の改良法で,始めに多項回帰により次数を選定することを特徴とする.選ばれた次数の回帰曲線のデータへの適合性を診断し,適合性が良いという仮説が棄却されない場合は傾向線として当該回帰曲線を採用し,棄却される場合は対応する平滑化曲線を採用する. 提案した手法を用いて,米,大豆,牛肉の生産・消費の経年変化を解析した.米の国内生産量は直線的に減少してきたと評価されたが,一人当たりの消費量の傾向線は2次曲線であった.2次曲線を外挿すると,最低になるのは1999年度となった.大豆の国内生産量は階差3曲線が選ばれたが,傾向線の示す変化は畑作振興政策の変遷で説明できた.牛肉は生産も消費も増加してきた代表的な食品であるが,生産量は既に減少に転じ,消費の増加もごく最近は急激に鈍化している.