トラマメより分離精製したα-アミラーゼインヒビター(TAI)の熱安定性と消化性について検討した. プレインキュベーション温度を25°Cから45°Cまで上げた場合,温度の上昇とともにインヒビター活性は上昇した.また,80°C,20分間の加熱において,pH3.0,5.0では約90%が失活したが,pH7.0では65%の活性が残存しており,90°Cに加熱温度を上げても35%の活性が残存していた. マメを水浸漬(15時間)しただけではインヒビター活性の低下は認められなかったが,続く加熱操作により15分後に90%が失活し,さらに15分間の加熱により完全に失活した.また,インヒビターの失活にともなって可溶性タンパク質量も減少した. 本インヒビターはペプシンおよびトリプシン消化に対して強い抵抗性を示したが,モル比で1/10量のキモトリプシンで消化させると2時間で約90%が失活した.