1989年の3月から7月の間に富山,福井および兵庫の各県において漁獲されたホタルイカの全魚体および肝臓の無機質成分含量を測定した.3月から7月にかけて全魚体のCu,MnおよびZn含量は増加した.特にCu含量の増加が顕著であり,7月の含量は3月のそれの約2倍以上であった.一方,その他の無機質成分は横這い傾向を示したが,採集場所により含量に差が認められた.また,全魚体のCu含量の約70%が局在している肝臓のCu含量も体成長と共に増加することから,全魚体のCu含量変化は肝臓へのCuの蓄積に依ることが示された.また,スルメイカ肝臓のCu含量も体成長に伴って増加し,高濃度のCuの蓄積が認められた.これらのことからイカ類は成長に伴い肝臓中にCuを蓄積することが推定された.