殺菌山羊乳より製造したサントモールタイプチーズを12°C,相対湿度93%で熟成し,熟成過程における性状変化について検討した.熟成開始時,1g当たりおよそ5.8×108であった乳酸菌数は,熟成開始31日目には4.1×107に減少した.4種の乳酸球菌を含む混合スターター(BD-01:Chr.Hansen's)を使用したため,熟成開始時は乳酸球菌が優勢であるが,熟成開始20日目以降桿菌/総菌数比が徐々に増加した. 水溶性窒素,水溶性タンパク態窒素およびプロテオース態窒素含量の増加度合は,同一製法で牛乳を原料とした場合に比較して緩慢であった.タンパク質・脂質の分解状況と嗜好性テストの結果から判断すると,今回の製造条件では熟成開始後15∼20日が最適熟成期間であることが示唆された.