野菜洗浄への利用を考え,強酸性電解水に対する有機物の影響について,次亜塩素酸ナトリウム溶液と比較することにより検討を行った.結果は以下のようになった. (1) キャベツ汁を次亜塩素酸ナトリウム溶液に添加し,その残留塩素の変化を測定したところ,残留塩素の約85%が窒素化合物と反応し,残りの約15%は窒素化合物以外の物質に消費されているものと考えられた. (2) アンモニアを強酸性電解水および次亜塩素酸ナトリウム溶液に添加し,残留塩素の変化を調べたが,2つの溶液のpHを同一にすると,ほぼ同じ挙動を示した. (3) キャベツ汁を強酸性電解水に添加し,残留塩素の変化について検討したが,pHを強酸性電解水と同じにした次亜塩素酸ナトリウム溶液と,同様な反応を示した.このことから,通常における強酸性電解水と次亜塩素酸ナトリウム溶液の挙動の差は,pHの違いが大きく影響しているものと推察された. (4) キャベツ汁に含まれる物質で,窒素化合物以外で残留塩素を消費するものは,ポリフェノール類とL-アスコルビン酸が主なものであると考えられた. (5) シュウ酸を強酸性電解水および次亜塩素酸ナトリウム溶液に添加し,残留塩素の変化を調べたが,2つの溶液の挙動の差は,pHおよびイオン濃度に影響を受けることが示唆された.