1994年,1995年,1997年日本産原木栽培椎茸5品種と中国産菌床栽培椎茸1種の計6種の干し椎茸について水温と水戻し時間を変えて水戻しを行い,吸水量,褐変度の変化を測定した.また水戻し後,加熱処理を行い,遊離アミノ酸,レンチニン酸,RNA,5'-ヌクレオチド含量の変化を測定し,品種の違いによる水戻しに対する挙動を検討した.いずれの品種も従来より報告されている挙動と似通った傾向を示したが,品種間には差があった. 日本産原木栽培椎茸では,品種Dは褐変度,遊離アミノ酸の増加は有意に小さく,吸水量,5'-ヌクレオチドの蓄積量も少ない傾向を示し,特徴のある品種であった.また品種A,Eは遊離アミノ酸の増加が有意に多く,品種Eは5'-ヌクレオチドの蓄積量も多い傾向を示した. 一方中国産菌床栽培椎茸は水戻しによって著しく褐変し,レンチニン酸,RNA残存量が有意に高く,遊離アミノ酸の増加,5'-ヌクレオチド蓄積量も多い傾向を示した.これは菌床栽培に由来する高窒素量が大きな要因であったと思われた.