トマト果実濃縮色素体をリコペン濃度0.1%になるように調製したものをトマト飲料として,Wistarラットおよび白内障自然発症(ICR/f)ラットに9週間与え,トマト果実濃縮色素体のラットの体内における抗酸化効果を検討した. その結果,トマト飲料を与えたラットではWistarラット,ICR/fラットともに肝臓において,リコペンが高濃度に蓄積し,過酸化リン脂質は蒸留水を与えた対照ラットより低値を示した.血漿や脳では,肝臓のようなトマト飲料の抗酸化効果は認められなかった. 本研究においてトマト果実濃縮色素体の摂取が,ラットの肝臓膜脂質の酸化変性を有効に抑制することが示されたので,トマトやその加工食品の酸化ストレスの関与する疾病の予防と健康維持への貢献が考えられた.