イヌリナーゼ酵素剤(ノボノルディスクバイオインダストリー社製)中のフルクトース転移活性を利用し,高濃度スクロース溶液からフラクトオリゴ糖(FOS)を調製するため高圧処理法を検討した. (1) 粗酵素溶液のスクロース,1-ケストース,ニストースとイヌリン分解活性及び1-ケストース生成活性はそれぞれ2.0U,4.3U,4.1U,3.4Uと2.3Uであった.pH5.0粗酵素溶液を用いた700MPa・60分高圧処理で,イヌリン,ニストースと1-ケストース分解活性はそれぞれ0.9%,2.5%と14.7%に低下した.しかしスクロース分解活性は51.2%残存し,1-ケストース生成活性は約8倍に増加した.この条件でエキソ型イヌリナーゼがほとんど失活され,β-フラクトフラノシダーゼの活性が残存した可能性が示唆された. (2) 未処理pH5.0粗酵素溶液を用い,16%又は48%(w/v)スクロース濃度でpH5.0,50°C,24時間酵素反応させた場合,生成フラクトオリゴ糖は完全にグルコースとフルクトースに分解された.しかし同条件で700MPa・60分高圧処理pH5.0粗酵素溶液を用いた場合には,生成フラクトオリゴ糖は分解されず残存した.この結果700MPa・60分高圧処理でエキソ型イヌリナーゼが予め失活されることでFOSの調製と蓄積が可能と考えられた.