山羊乳カマンベールタイプチーズの熟成過程において,タンパク分解は1週目より確認されるが,2週目以降顕著になった.これは主にカビ酵素の作用の可能性が考えられる.熟成率は,牛乳を原料とした場合に比較して,熟成期間を通して著しく低く,その増加も緩慢であった.遊離アミノ酸含量および遊離脂肪酸含量は熟成1週目より増加し,その増加は4週目から5週目,そして7週目から8週目にかけて顕著であった.牛乳製カマンベールチーズの熟成適期は20∼30日であるといわれているが,山羊乳製の場合は熟成率による判断は困難であり,タンパク質の低分子化状況と嗜好性が7週目以降低下することを併せ考えると,5週目から7週目までと考えられる.