IP6およびその加水分解物である各種IPnsについて各種抗酸化活性および金属イオンに対する結合作用を測定し,以下の結果を得た. (1) FTC法とβ-カロテン退色法によって抗酸化活性を測定し,IP2~6のすべてにおいて抗酸化活性を認めた.その中ではIP6の抗酸化活性が高く,α-tocophrolとほぼ同等の抗酸化活性を示した.しかし,DPPHラジカル消去能はなかった. (2) IPnsのFe2+とCu2+に対する結合活性を測定したところ,両イオンに対する結合活性を見いだした.その活性はIP6が最も強く,リン酸基の数と活性の強さは比例関係にあった. (3) カツオトリグリセリドにFe2+を加えた系において,IPnsは脂質酸化を抑制した.またα-tocopherolとの相乗効果が明らかになったことから,天然抗酸化剤としての有用性が示唆された.