AIT量を減らすことを目的とし,まだ明らかにされていない,湿度の影響に着目して異なる湿度条件下での抗菌効果を検討した.さらに,得られた効果を実際の食品で確認するために,もやし種子を対象とした応用試験を行い,以下の点を明らかにした. (1) 防カビ力の強さは『培地にのせて暴露-培地交換なし』>『湿度100%』≧『培地にのせて暴露-培地交換あり』>『湿度34%』の順であり,AITの防カビ力は培地への吸着および水分が大きく関与していることが明らかになった. (2) 水分関与のメカーズムとしては,以下の(1) (2)が考えられた.(1)高湿度下ではカビの代謝が活発となるため,AITが取り込まれやすくなる.(2)AIT蒸気は水に吸着され,それが直接胞子に接触することにより,抗菌作用を示す. (3) 食品への応用を検討した結果,基礎検討と同様にその抗菌力の強さは『湿度100%』>『湿度34%』であることが確認され,実際の殺菌場面においても,湿度の影響が非常に大きいことがわかった. (4) 以上の結果から高湿度下でAIT暴露を行うことにより,AIT使用量の削減が可能となり,AIT殺菌の応用用途拡大に貢献できると考える.