(1) Chl (a+a')及びChl (b+b')は碾茶乾燥工程,特に3段目乾燥以降に大きく減少した.Phy (a+a')及びPhy (b+b')は蒸熱後急増したが,その後工程とともに減少した.乾燥工程での高温処理による分解が原因と考えられる. (2)碾茶荒茶ではChl a'及びChl b'のエピマーの存在率が30及び48%と,煎茶荒茶と比較して高いことが示された.碾茶乾燥工程におけるエピマーの熱安定性に起因するものと推定される. (3) 各色素類の減少に起因して,総含有量が乾燥工程とともに減少することが,また,Phy (a+a')の減少に起因して,Phy変化率も乾燥工程とともに減少することが明らかとなった. (4) 碾茶荒茶でのクロロフィラーゼ活性は生葉の約18分の1で,50秒蒸し煎茶荒茶のそれとほぼ同じであった.このことにより,碾茶乾燥工程におけるクロロフィラーゼ活性の低下は比較的大きいことが明らかとなった. (5) 碾茶荒茶にはPBaは全く含まれておらず,碾茶製造工程においてはクロロフィラーゼは作用できる条件にないことが示唆された.