コーンフラワーを原料としたトルティーヤ調製において,炭酸カルシウムを添加すると,デンプン粒子の膨潤・崩壊,分子の膨潤・水和が促進されたが,変化の程度は小さかった,炭酸カルシウム添加では,加熱により空洞が組織中に観察され,吸水率が増加した.このため,炭酸カルシウム添加トルティーヤでは水分の多い具材を巻いて食べる際には,水分を良く吸収し食べ易さが向上すると考えられた. 一方,水酸化カルシウムを添加した場合には,デンプン粒子の膨潤・崩壊,分子の膨潤・水和は炭酸カルシムを添加した場合よりも促進され,組織は緻密となった.従って,水酸化カルシウム添加では,調理操作上あるいは具材を包んで食べる際には破れにくくなり,これらの点で利便性は向上すると考えられたが,添加により強いアルカリ味が生じ,赤味の強い色調になるために,利用に際しては添加量に注意を払う必要があると考えられた.