マイクロ波加熱解凍を前提とした冷凍おにぎりの品質向上に向けて,米飯塊の凍結条件と貯蔵条件が米飯の諸特性に及ぼす影響を明確にすることを検討した.その結果,次のことがわかった. (1) 凍結温度を-13.0~-31.0℃,貯蔵温度を-31.0℃,貯蔵期間を7日間程度にした場合,未凍結の場合に比べて米飯塊の白濁および黄変の抑制,破断特性の維持が図れて良好であることが明らかになった. (2) マイクロ波加熱解凍における米飯塊の温度挙動は,加熱時間と最終温度との到達時間の間に一定の傾向が認められなかった.これは,米飯塊の粒子形状が試料により不均一な集合体であることに起因すると推察した. (3) マイクロ波加熱解凍後の水分含量は,米飯塊の中心部が低く,表層部が高くなる傾向が認められた.これは,急激な温度上昇により中心部の水蒸気圧が高くなって水分子が外側に拡散されるのに対して,表層部は包装により水分が保持されるためと考えられた. (4) 自然解凍した米飯塊のデンプンの糊化度は,凍結温度,貯蔵温度および貯蔵期間に対して一定の傾向は認められないことから,冷凍米飯の品質劣化の主因ではないことが示唆された. 低温恒温恒湿機や色彩色差計などの使用に御便宜を図って頂きました岩手県工業技術センターおよび岩手大学地域共同研究センターに感謝致します.なお,成果の一部を日本食品科学工学会第47回大会(2000年3月,東京)において口頭発表した.