回転型平板膜モジュール,撹拌翼型平板膜モジュールの2種のセラミック膜モジュールを用いて,十字流濾過により,火入れオリから醤油の回収を検討し,膜モジュールの性能を比較した.まず,濃縮された火入れオリの液物性を測定し,膜モジュールで懸濁液を高濃度濃縮する場合の注意点を明らかにした.つぎに,回転型平板膜モジュールと撹拌翼型平板膜モジュールを用いた醤油オリの全循環濾過により,両膜モジュールの特性を比較した.回転型平板膜モジュールでは邪魔板形状および膜と邪魔板とのクリアランスが膜透過流束にほとんど無関係であった.一方,撹拌翼型平板膜モジュールでは撹拌翼および膜と撹拌翼とのクリアランスを変えることで膜透過流束を大幅に向上でき,撹拌翼型平板膜モジュールは回転型平板膜モジュールよりも同一回転数において膜透過流束を大きくできることを明らかにした.また,濃縮運転を通じて,撹拌翼型平板膜モジュールの圧力損失が小さく,膜透過流束が大きいため,多管状膜モジュール,膜回転型平板膜モジュール,撹拌翼型平板膜モジュールの中で撹拌翼型平板膜モジュールが懸濁液の高濃度濃縮に有効であることを明らかとした.撹拌翼型平板膜モジュールにより回収されたオリ濾過液は,醤油としての品質を十分に保持しており,醤油として転用可能であること,膜モジュールの導入により火入れ醤油からの醤油の回収率が90%から99.7%以上に,すなわち10%以上の醤油の増産と,97%の産業廃棄物の減量という,二っの経済的な効果が得られることが確認された.