かつお節焙乾工程における香気成分の変化のメカニズムについて検討し,以下の結果を得た. (1) ピラジン類はカツオ肉由来の成分間の加熱反応によっても生成するが,主たる生成反応にはくん煙成分が関与していた.くん煙成分であるアセトール,2, 3-ペンタンジオンをかつお節粉末に添加して加熱すると,数種のピラジン類が顕著に増加した.このことから,大部分のピラジン類はくん煙由来のα-ケトァルコールやα-ジカルボニルとカツオ肉由来のアンモニアやアミノ酸,たんぱく質のアミノ基とが反応して生成するものと考えられた. (2) くん煙の主成分であるフルフラール,2-シクロペンテン-1-オン,5-メチルフルフラールは,かつお節中の成分と容易に反応して変化することから,焙乾工程において,かつお節に移行後,減少すると推定された.