UHT牛乳の物理化学的性状および官能特性に及ぼす均質圧力の影響を把握することを目的に,間接加熱法で130℃で2秒間の殺菌を行ったUHT牛乳について検討を行った. なお,官能特性については,専門パネルによる官能評価を行い,また,嗜好については,一般消費者である主婦パネルによる官能評価を行った. (1) 均質圧力を高くするに従って,脂肪球は細分化され,脂肪球平均粒子径は減少した.これに伴い,UHT牛乳の粘度,白色度,屈折率は,それぞれ増加する傾向にあった.また,レンネット凝固能については,均質圧力を高くするに従って,減少する傾向にあった. (2) 10℃保存中における脂肪浮上率(クリーミング)は均質圧力が高く,脂肪球が細かくなる程減少し,クリームラインの形成が抑制される傾向にあった.また,保存日数が長くなる程,その傾向が顕著であった. (3) 風味の属性評価およびそれらの主成分分析の結果,均質圧力が低いほど,脂肪感,コク,ミルク味,甘味が強く,濃厚感の強い牛乳という評価が認められた.逆に,均質圧力を高くすると,さっぱり感が強くなった. (4) 主婦パネルによるおいしさの評価の結果,均質圧力が低い方が好まれ,いわゆる濃厚感が強い牛乳の方が好まれる傾向にあった.