種子の中に中鎖脂肪酸のトリグリセライド(MCT)を蓄積することが知られている温帯産の未利用植物クフェアの種子油について,食品としての品質を検討した.供試した6種のクフェアの内, C.leptopoda 種子は,カプリン酸(C10)を主要脂肪酸とする(92.6%)MCTを多量に含有しており,MCT源として最もすぐれていると考えられた. C.leptopoda 種子油は下記の特性を有していた. (1)常温で固体であり,不快臭は有していなかった.クロロフィル含量が高いことと,その結果油の色が濃いことが問題点である. (2) けん化価が高く,ヨウ素化が低い点でヤシ油と似ている. (3) 常温でも高温でも極めて高い酸化安定性を示した. (4) 動粘度が低く,展延性,浸透性に優れており,幅広い利用可能性が期待された.