貯蔵中における大きさの異なる煮干しの品質変化を調べた. (1)室温貯蔵(25℃)では,小羽,中羽および大羽の大きさの異なる3種類の煮干しは,いずれも貯蔵10日目まで官能評価は良好であったが,貯蔵初期の急激な脂質酸化による酸化生成物とアミノ酸の反応による褐変が進行し,貯蔵30日以後煮干しの品質はやや低下し,貯蔵90日以後著しく低下した. (2)低温貯蔵(5℃,-25℃)では,煮干しの褐変は徐々に進行し,室温貯蔵に比べると品質低下が抑制された.これは,脂質酸化に伴う褐変因子は生ずるが,低温のため褐変反応速度が抑制されたためと考えられる. (3)大きさの異なる煮干しの品質変化は,いずれの貯蔵温度でも,貯蔵30日後まで煮干しの大きさによる差異は認められないが,貯蔵60日以後煮干しが小さいほど品質低下が少ない傾向が見られた.これは煮干しが小さいほど脂質含量が低かったことに起因していると考えられたが,煮干しの大きさの品質変化への関与は不明である.